
年初からの力強い上昇基調から一転、ビットコイン(BTC)は一時8万2000ドルの抵抗線で激しく拒絶され、直近では7万7000ドルを割り込んで7万6500ドル付近まで下落した。TON(Toncoin)やFLR(Flare)といった主要アルトコインも軒並み連れ安となり、調整局面に入っている。
この価格停滞の背景にある最大の要因は、米国の長期金利(米10年債利回り)をはじめとする各国金利の急激な上昇である。現在、マクロ経済環境と暗号資産市場の間でどのような相関メカニズムが働いているのか、その真実を分析する。
米長期金利「4.6%超」への急騰とインフレの影
米10年債利回りは直近の市場で4.622%から4.63%前後まで跳ね上がり、約16ヶ月ぶりの高水準に達している。この金利急騰を引き起こしている主因は、再び頭をもたげてきたインフレ再燃への恐怖だ。
中東地域における地政学リスクの緊迫化に伴い、原油価格が1バレル105ドル台まで上昇。このエネルギー価格のショックが米国の物価指標を押し上げる要因となり、市場が期待していた連邦準備制度理事会(FRB)による年内の利下げ観測は完全に消滅した。それどころか、現在の市場では「年内に追加利上げが行われる確率」が約40%まで上昇するという、極めてタカ派的なシナリオすら意識され始めている。
なぜ長期金利の上昇が暗号資産の「重石」になるのか
長期金利の上昇は、暗号資産市場に対して主に二つのルートで強力な下押し圧力をかける。
第一に、安定資産の利回り上昇に伴う資本の還流である。
米国債の利回りが4.6%を超えるということは、事実上の無リスク資産を保有するだけで年間4.6%以上の利回りが確定することを意味する。これにより、高い価格変動リスク(ボラティリティ)を負ってまでビットコインやハイテク株を保有する運用の優位性が相対的に低下する。結果として、機関投資家やクジラ(大口投資家)の資金がリスク資産から債券市場へと引き揚げられやすくなる。
第二に、ビットコインの「リスクオン資産」としての性質の強まりだ。
現在のビットコインは、インフレヘッジや独立した避難先(デジタルゴールド)としてではなく、米国の「中小型株指数(ラッセル2000)」と極めて高い相関性を持って動いている。金利の上昇は資本調達コストの増加に直結するため、金利負担に敏感な中小型株や、余剰流動性に依存しやすい暗号資産セクターの資金流入を真っ先に収縮させる原因となる。
クリプト総研の視点
足元の暗号資産市場では、投機的な買いレバレッジの意欲(ロング需要)が大幅に後退している。無期限先物の資金調達率は一時マイナス圏に沈むなど、市場心理は明確に弱気に傾いており、短期的には200日移動平均線(8万2000ドル〜8万3000ドル付近)を下回った状態での下値模索が続いている。
今後の展望として、債券市場からの資金流出が一段落すれば、蓄積された流動性が再び暗号資産市場へ還流するとの中期的観測もある。しかし、それは中東情勢の沈静化や原油価格の安定による「インフレ懸念の後退」が絶対的な前提条件となる。
米長期金利が高金利の長期化を維持し、さらなる引き締めリスクを内包し続ける限り、ビットコインをはじめとする多くの暗号資産にとって、マクロの金利環境は上値を抑えつける最も強固な重石として機能し続けるだろう。
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本記事は情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。暗号資産への投資は高いリスクを伴うため、最新の市場状況を十分に確認した上で自己責任で行う必要があります。