2026.03.13 23:59オリジナルその他

金融庁、「暗号資産・ステーブルコイン課」を新設へ:デジタル金融行政が本格始動

日本の金融行政を担う金融庁が、暗号資産(仮想通貨)とステーブルコインを専門に監督する新部署を設置することが明らかになった。2026年1月26日付の広報誌「アクセスFSA」で正式に発表されたこの新設計画は、同庁にとって2018年の検査局廃止以来8年ぶりとなる抜本的な組織再編の一環だ。


8年ぶりの大改革、2局体制へ移行

今回の組織改革の核心は、現行の「総合政策局」と「監督局」を解体・再編し、「資産運用・保険監督局」と「銀行・証券監督局」の2局体制へ移行するという大規模な構造転換にある。

新たに設置される「暗号資産・ステーブルコイン課」は「資産運用・保険監督局」の管轄下に置かれ、仮想通貨交換業者や電子決済手段取引業者の監督業務を一手に担う予定だ。正式な発足は2026年夏を予定しており、名称については今後の政令改正を経て最終決定される見込みで、若干の変更可能性も残されている。


「暗号資産参事官」設置から続く布石

この新設は突然の動きではない。2025年7月に「暗号資産・ブロックチェーン・イノベーション参事官」のポストが新設され、今泉宣親氏が就任したことが布石となっていた。今泉氏は前市場企画室長・資産運用改革室長という経歴を持ち、新設課の初代課長候補として有力視されている。「利用者保護の確保とイノベーション推進の両立」というミッションを自ら掲げており、新部署の方向性を体現する存在として注目を集める。

同年8月には機構・定員要求で「暗号資産・イノベーション課」の新設を政府に要求しており、今般の正式発表はその延長線上にある。


規制・税制・実証実験 三位一体で動く日本のクリプト行政

新部署設置の背景には、クリプト業界をめぐる制度環境の急速な変化がある。

まず、改正資金決済法の施行準備が進んでいる。暗号資産の取引・仲介・資金移動に関するルールが見直され、業者破綻時の利用者保護の枠組みも新たに整備されることとなった。

次に、金融機関によるステーブルコイン活用が加速している。2025年11月、金融庁は三菱UFJ・三井住友・みずほの3メガバンクが計画する円建てステーブルコインの共同発行実証実験を支援すると発表。さらに2026年2月には、野村HDと大和証券グループが3メガバンクと連携して進める、ステーブルコインを活用した株式・債券・投資信託の決済実証実験への支援を決定。片山さつき金融担当大臣はこれを「画期的だ」と高く評価した。

税制面でも大きな節目を迎えた。2026年度税制改正大綱に、仮想通貨取引への申告分離課税(一律20%)の導入が盛り込まれた。金融商品取引法改正の施行翌年にあたる2028年1月からの適用が見込まれており、業界が長年求めてきた要望がついに実現する形となった。


「利用者保護」と「イノベーション」の両立が試金石に

日本のクリプト行政はこれまで、利用者保護を優先するあまりイノベーションの芽を摘んできたとの批判を受けることもあった。しかし今回の一連の動きは、金融庁が規制の明確化と産業育成を同時に推進しようとするスタンスへと転換しつつあることを示している。

「暗号資産・ステーブルコイン課」の発足は、単なる組織改編にとどまらない。デジタル金融の本格的な時代に向けて、日本がどこまで本気で向き合うかを問う試金石となりそうだ。

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